レーシックの歴史

レーザー近視治療

 レーシックを含む近視治療の起源は1930~50年代にさかのぼるといわれています。当時、順天堂大学の佐藤教授が、角膜の表面と裏面にメスで切りこみを入れることにより角膜のカーブを弱め、視力を矯正するという方法をおこなっていました。ただこの頃は角膜のしくみが現在ほど解明されておらず、佐藤教授の治療法は後々トラブルをひき起こすこととなったため、次第におこなわれなくなりました。

 1960年代に入り、コロンビアの眼科医が、角膜を切除して裏側を加工した後もとにもどすケラトミレイシスという治療法を開発しました。このケラトミレイシスがレーシックの基礎となるALKへと発展します。ALKは1980年代にアメリカで開発されました。ALKはマイクロケラトームと呼ばれる電動カンナで角膜の表面を薄く削った後、さらに角膜中央部の実質層を削ることにより、視力を矯正するというものです。しかしこの治療法には合併症の危険性などがあり、次第におこなわれなくなりました。

 他方、1970年代に入り、ロシアで佐藤教授の治療法を発展させたRK(角膜放射状切開術)という治療法が開発されました。これは角膜の表面にメスで放射線状の切りこみを入れ、角膜のカーブを弱めることにより、視力を矯正する方法です。当初は世界的に注目を集めた治療法でしたが、種々の問題点が発生したため、次第におこなわれなくなりました。

 1980年代に入り、メスの代わりにレーザーを用いるPRK(レーザー屈折矯正角膜表層切開術)がアメリカで開発されました。この手術はまず角膜上皮層をはがした後、その下の角膜実質にエキシマレーザーを照射し、角膜のカーブを弱めることによって視力を矯正します。メスを用いるRKに比べ、正確かつ安全に治療がおこなわれるようになり、視力矯正手術を受ける人は一気に増加しました。

 ただPRKにもいくつかの欠点があります。角膜の表面を削りとることによる痛みが続くこと、視力回復までに時間がかかること、ヘイズの発生、両眼同時に手術をおこなうことができないこと、などです。今でも一部のクリニックでPRKはおこなわれているものの、徐々にこの後登場するレーシックが主流になっていきました。

 1990年にギリシャの眼科医が、レーシック(lasik)を開発しました。レーシックはマイクロケラトームという装置を用いて、角膜の表面の一部をつながった状態で残すようにして切ってフラップと呼ばれる「ふた」を作り、角膜実質にエキシマレーザーを照射する視力矯正手術です。

 PRKは角膜上皮に直接エキシマレーザーを照射して削りとっていたため、手術後の痛みが強く、視力の回復に時間を要しました。レーシックの場合は、フラップを作ることにより、角膜実質にレーザーを照射した後、またフラップを元にもどすため、痛みがほとんどない、手術後の視力回復が早い、手術後の点眼をおこなう期間が短くてすむ、PRKにくらべてより強度の近視を治療できる、などの利点があります。

 またFDA(米国食品医薬品局)が1995年に視力矯正手術にエキシマレーザー装置の使用を認可したこともあって、アメリカでは1990年代半ばから爆発的に治療者数が増えていき、2000年以降は毎年100万人以上がレーシックを受けるほど一般化しています。

 日本では2000年1月に厚生省(現・厚生労働省)がエキシマレーザー装置を認可して以来、2000年にレーシックを受けた人が2万人、以降年々増え続け、2005年で推定7万人が受けているといわれています。

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